英語の「文」について

 この記事では英語の文がどのように定められているのか解説していきます。次のような例はすべて文です。

(1)Hello!(やあ!)
(2)Poor Johon!(かわいそうなジョン!)
(3)Down with the tyrant!(暴君を倒せ)
(4)Moher’s in the kitchen.(お母さんは台所だ)
(5)Who took the money?(誰がその金をとったのか)

安藤(2005)より

 はじめに言っておきますと、文とは「事実や考え,気持ちなど,何らかの意味を伝えるもの」です。(Forestより)つまり、文はその働き・何をするのかに注目した概念だと言うことです。

 さらに言えば、その構造・成り立ちに注目するだけでは文は捉えられないと言うことです。ここでいう文の構造・成り立ちというのは主語や述語の並び方であったり、品詞として何を含んでいるか等ということだと考えて下さい。では、じっくり見ていきましょう。

 まず、語の数はどうでしょうか。「語1つでは文では無く、ただの単語では無いのか?」とお思いの方もいらっしゃるかも知れませんが、(1)Hello!を見ると、そうではないことがわかります。(1)は意味を伝えると言うより、挨拶という行為をしていると考えることもできますね。このような例は一語文と呼ばれます。日本語でも”飛行機!”とか”ホタル!”なんて口にしますよね。

 次は文の要素について、例えば英語の文には主語と動詞がある、と習った方もいらっしゃると思います。しかし、全ての文に主語や動詞があるわけではありません。(2)Poor Johon!には動詞がありません。また(3)Down with the tyrant!には主語がありません。(4)Moher’s in the kitchen.には主語も動詞もありますから、この例の中では一番文らしい文かもしれません。そのため、文という言葉で意図されているのは、主語と動詞を持った形式であることが多いです。

 そのため、文というのは最初に述べたように、”意味を伝える”という働きに注目して定められているわけです。今回はこのように働きに注目して定められてることを”機能的に定義されている”と言うことにします。さて文の機能について少しだけ説明を付け加えます。意味を伝えることだけが文の機能ではありません。(5)Who took the money?では質問をしています。(3)Down with the tyrant!では命令をしていますね。(1)Hello!では挨拶をしています。日本語で他に文の機能について例をあげれば”被告人を有罪とする”という文では判決という行為を行なっています。何かを伝えるというのは文の大切な機能の1つですが、他にもいろいろな行為を行なうことができるということが分かると思います。

まとめ
・文は機能的に定義された概念である。
・文の構造は様々であり、文は構造的に定義しがたい。
・文の機能は、意味を伝えることを始めとして、質問や命令など様々な機能がある。

参考にした文献
安藤貞雄(2005)『現代英文法抗議』開拓社
石黒昭博 監修(2013)『総合英語 Forest 7thEDITION』桐原書店
山田暢彦(2011)『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』学研教育出版

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